摂食障害
摂食障害には食べることへの衝動コントロールがうまくいかないことを指し、食事を極端にとらなくなってしまう拒食症と、極端に大量に摂ってしまう過食症があります。拒食症には、短期間に著明な体重の減少や月経がこない、低体温、食べても嘔吐や下剤を使っての排出といった症状が見られます。精神面では、抑うつ気分やこだわりが強くなったり、やせて体力が低下することで学業や仕事の能率にも影響もみられます。一方、過食症には、短時間で詰め込むように大量の食物を摂るむちゃ食いや、吐く、下剤を使うなど、体重を増やさないための行動も見られます。精神面では、気分の浮き沈みがあったり、体重増加の疲れから仕事や学校に行けなくなったり、食費がかさむことで、日常生活に影響が出ることも少なくありません。
拒食症は10代で発症することが多く、過食症は20代での発症が多い傾向にあります。男女比は9割近くと女性に多く見られる疾患です。日本では生涯のうちに約13%の人が摂食障害を経験するといわれています。
摂食障害の原因として、思春期における精神的な葛藤からダイエットを対処行動として選択する傾向が大きく関係しているとされています。ダイエットをし体重が減少することで達成感が得られ、自尊感情の回復を一時的に得られることが拒食症へとつながるのではと考えられています。過食症では、欲求不満や孤独感を引き起こすような体験が引き金となり過食にはしるといった傾向が多く見られます。
治療では、精神療法と薬物療法が必要ですが、中でも、精神療法によって自己効力感と自尊心を取り戻すことが重要です。